【家電量販月次売上速報】11月度はマイナス基調に

家電量販企業大手7社のうち、IR情報として月次売上速報を公表しているのはビックカメラ、ケーズホールディングス、エディオン、上新電機、コジマ(ビックカメラの子会社）の5社。いずれもPOS受注売上ベースの数字であり直接売上高とは合致せず通期売上等とも異なるが、家電量販企業の足下の販売動向や月々の変化などを知る上で重要な情報となる。
11月度の月次売上速報が出そろった。

家電量販企業5社の11月度売上速報

2022年下期(暦年ベース）で見ると、家電量販企業の売上は前年対比で乱高下を繰り返しているような状況になっている。6月は後半の猛暑と短い梅雨が明けて一気にエアコンが伸び、各量販企業ともプラスになったものの、7月、8月と暑い日が続いたものの地域によっては長雨や早めの気温低下の影響もあってエアコンが前年のようにプラスとならずにマイナス傾向になった。9月は携帯電話で人気商品の発売、大ヒットのゲームソフトの発売などが追い風となり、さらに秋以降の商品値上げ報道も相次いだことから「プチ駆け込み需要」もあって各量販企業とも前年同月比でプラスに。しかし、10月になると前年までの「巣ごもり需要」「テレワーク需要」といった新型コロナ禍での『特需』の反動、物価上昇による買い控えもあり、再び低迷状態になった。
11月は引き続き物価高や光熱費の上昇などによる消費の冷え込みによる買い控え、季節要因として気温低下がそれほどでもなく暖房機器が伸び悩んだこともあって、10月が前年同月比93.5％とマイナスだったビックカメラがばん回してプラスになった以外、各企業ともマイナスとなった。

ビックカメラ

■月次売上(前年同月比）

21年12月	22年1月	22年2月	22年3月	22年4月	22年5月	22年6月	22年7月	22年8月	22年9月	22年10月	22年11月
92.4	101.1	98.3	95.8	100.8	96.1	101.7	98.0	106.5	113.3	93.5	106.4

■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)

	21年12月	22年1月	22年2月	22年3月	22年4月	22年5月	22年6月	22年7月	22年8月	22年9月	22年10月	22年11月
音響映像商品	94.1	107.5	96.8	97.1	99.5	102.4	95.8	87.1	110.3	101.9	106.2	105.6
家庭電化商品	102.8	113.2	101.5	108.5	112.0	97.4	112.3	100.2	103.0	108.1	102.0	100.0
情報通信機器商品	80.0	87.1	89.8	96.9	99.6	90.7	96.8	97.2	100.7	111.4	72.6	94.3
その他の商品	91.6	97.2	108.7	74.4	86.7	95.6	92.8	105.4	117.3	137.2	101.7	134.0

前月は93.5％と月次速報を公表している5社の中で最もマイナスが大きかったビックカメラだが、11月度は106.4％と唯一のプラスになった。この結果、2023年8月期の第1四半期累計では104.0％と堅調ぶりをキープ。月次売上速報によると、「音響映像商品」ではデジタルカメラが好調で、オーディオが堅調に推移。「家電電化商品」は理美容家電が好調で調理家電が堅調だったとしている。「その他の商品」ではゲーム、時計、医薬品や玩具が好調で、スポーツ用品が堅調だった。店舗状況ではビックカメラ千葉駅前店を出店、ビックカメラ町田店が退店している。

ケーズホールディングス

■月次売上(前年同月比）

21年12月	22年1月	22年2月	22年3月	22年4月	22年5月	22年6月	22年7月	22年8月	22年9月	22年10月	22年11月
90.8	98.1	97.9	101.0	103.0	93.4	104.9	91.8	92.3	106.1	97.8	93.1

■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)

	21年12月	22年1月	22年2月	22年3月	22年4月	22年5月	22年6月	22年7月	22年8月	22年9月	22年10月	22年11月
テレビ	82.7	97.0	93.1	105.4	99.2	89.0	83.6	77.7	87.5	96.5	87.0	88.6
パソコン・情報機器	90.1	92.5	94.3	103.6	96.5	85.9	94.9	101.8	97.3	100.5	103.4	109.9
冷蔵庫	108.1	107.3	101.5	110.6	111.2	105.4	115.3	112.3	99.6	113.0	95.1	95.8
洗濯機	104.3	104.9	103.7	107.2	108.6	99.4	101.1	106.2	92.5	120.3	106.0	94.9
クリーナー	101.4	113.2	103.0	96.3	96.1	91.6	101.7	104.5	94.2	105.6	123.3	82.8
調理家電	96.1	102.4	100.9	106.1	95.1	91.6	94.1	94.9	90.0	100.4	99.3	96.0
理美容・健康器具	98.5	102.3	99.6	101.8	96.6	88.7	91.4	96.1	97.5	101.0	100.7	100.0
エアコン	90.1	101.6	111.6	111.4	132.5	102.1	127.5	80.6	93.0	131.8	98.2	86.1

ケーズホールディングスの11月度は93.1％と、2ヶ月連続のマイナスとなった。商品別では「パソコン・情報機器」が109.9％と3ヶ月連続のプラス、「理美容・健康器具」も3ヶ月連続の前年並みと堅調に推移したが、前月はプラスだった「洗濯機」「クリーナー」がマイナスになっている。店舗状況は奈良県、北海道、岡山県で新店があり、退店はなかったため月末店舗数は544店となった。

エディオン

■月次売上(前年同月比）

	21年12月	22年1月	22年2月	22年3月	22年4月	22年5月	22年6月	22年7月	22年8月	22年9月	22年10月	22年11月
全店	89.9	96.3	97.9	99.8	103.0	97.8	103.9	94.0	97.8	106.2	101.5	97.8
直営店	90.2	96.7	97.8	100.0	102.6	98.3	103.3	93.9	97.7	106.9	101.4	99.0

■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)

	22年4月	22年5月	22年6月	22年7月	22年8月	22年9月	22年10月	22年11月
テレビ	94.9	88.9	77.7	75.7	86.0	93.7	90.2	103.3
エアコン	135.5	115.1	140.1	86.7	106.1	121.7	106.9	90.6
冷蔵庫	111.9	108.1	107.7	101.6	108.4	100.8	100.9	95.4
洗濯機	106.6	101.7	97.2	101.9	96.7	102.3	109.5	99.2
パソコン	91.0	87.2	88.7	100.2	100.5	104.2	107.3	111.5
ELS事業 (リフォーム計)	132.7	122.5	116.4	123.5	108.3	116	111.9	93.3

エディオンの11月度は全店で97.8％、直営店で99.0％と、3ヶ月ぶりのマイナスとなった。同社は2022年度より月次の商品別売上状況を公表しているが、テレビが初めて103.3％とプラスに、パソコンは111.5％と5ヶ月連続のプラスになった一方、4月以降ほぼ2ケタ台のプラスになっていたELS事業（リフォーム）が93.3％とマイナスだった。店舗状況は新店でFCが1店あり、退店ではFCが2店あったため、月末店舗数は1,209店となった。

上新電機

■月次売上(前年同月比）

21年12月	22年1月	22年2月	22年3月	22年4月	22年5月	22年6月	22年7月	22年8月	22年9月	22年10月	22年11月
91.4	96.0	95.4	93.9	95.3	100.9	103.7	89.8	95.5	107.3	99.1	99.5

■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)

	21年12月	22年1月	22年2月	22年3月	22年4月	22年5月	22年6月	22年7月	22年8月	22年9月	22年10月	22年11月
テレビ	87.0	98.3	91.1	90.8	89.2	94.5	87.8	75.5	88.7	85.9	95.8	89.5
パソコン	94.6	82.4	94.0	102.6	84.3	97.5	91.8	80.7	87.3	101.7	95.3	101.5
携帯電話	109.4	129.6	133.8	133.4	91.7	125.4	129.2	128.6	110.7	143.8	139.9	152.1
エアコン	88.3	96.2	99.6	105.4	122.9	111.9	132.6	82.1	95.8	124.5	112.1	88.3
冷蔵庫	102.1	103.0	93.1	104.0	100.8	98.1	107.3	95.7	91.1	93.2	95.1	87.5
洗濯機・クリーナー	94.9	96.8	85.6	89.4	88.0	92.6	94.1	98.9	90.8	95.7	104.0	92.6

上新電機の11月度は99.5％で2ヶ月連続のマイナスとなった。商品別では携帯電話が依然好調で152.1％ と大きく伸長し、7ヶ月連続のプラスになったほか、パソコンは101.5％と2ヶ月ぶりのプラスとなった。店舗状況は新店が2店舗あり、退店が1店舗あったため月末店舗数は223店舗となった。

コジマ

■月次売上(前年同月比）

	21年12月	22年1月	22年2月	22年3月	22年4月	22年5月	22年6月	22年7月	22年8月	22年9月	22年10月	22年11月
既存店	95.1	101.8	98.9	95.4	95.7	87.1	101.7	99.4	93.7	106.4	98.2	97.3
全店	96.6	103.6	100.5	96.4	97.2	90.1	103.3	99.8	95.6	108.6	98.2	97.7

■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)

	21年12月	22年1月	22年2月	22年3月	22年4月	22年5月	22年6月	22年7月	22年8月	22年9月	22年10月	22年11月
テレビ	91.4	114.8	91.5	88.5	84.1	80.6	73.8	73.2	90.6	88.4	82.5	90.1
ブルーレイ・DVD (録画機含む）	86.0	106.5	89.4	76.3	72.5	61.8	55.3	55.6	81.9	71.7	73.4	77.9
エアコン	85.5	99.7	109.0	110.7	130.5	91.8	122.0	81.5	92.2	120.4	103.8	96.4
パソコン （本体のみ）	90.4	80.1	88.6	85.8	89.5	85.1	97.8	109.3	96.5	93.3	98.5	110.6
携帯電話	111.3	133.3	123.8	143.8	92.0	105.4	127.3	124.9	96.0	115.8	115.6	114.1
洗濯機	103.6	110.2	95.3	99.0	94.0	82.7	94.1	101.1	94.6	109.0	101.7	93.0
冷蔵庫	112.1	110.8	94.9	104.0	104.1	89.8	104.2	100.9	89.5	93.2	88.1	88.9

コジマの11月度は既存店が97.3％、全店で97.7％と2ヶ月連続のマイナスとなったものの、2023年8月期第1四半期計では既存店100.5％、全店が101.3％と前年並みを維持した。月次売上速報によると、11月は前年がグリーン住宅ポイント制度に伴いテレビや冷蔵庫、洗濯機が好調だった反動があったこと、エアコンや電気ストーブなどの季節商品が、平均気温が高かった影響で伸び悩み、前年を下回ったとしている。一方で、パソコンは前年が商品供給の影響で低調だった反動により110.6％と好調に推移。また、先月に引き続き携帯電話、ゲームソフトが好調に推移したとしている。店舗状況は出退店ともなく、月末店舗数は141店となった。