家電量販店5社 2023年度第1四半期決算まとめ

2024年3月期決算の主要家電量販店5社は、第1四半期決算(4~6月)を発表した。新型コロナ禍での3年間で市場もさまざまな変化が起こった後、感染法上の5類に移行し本格的に「アフターコロナ」となって迎えた第1四半期。物価上昇が続く中での景気低迷感の継続に加えて、「巣ごもり需要」の反動の影響を引きずりながら、前期と比べてエアコン販売の追い風も少なく、全般的に厳しい四半期となった。

家電量販店5社 2024年3月期 第1四半期連結業績

国内家電市場の約6~7割近くを占めている大手家電量販店7社のうち、2024年3月期の第1四半期決算は発表したのはヤマダホールディング、ケーズホールディングス、エディオン、ノジマ、上新電機の5社。ヨドバシカメラは非上場のため未公表、ビックカメラは8月期決算となっている。

家電量販5社 第1四半期売上高
家電量販店5社 第1四半期の売上高と前期比
家電量販5社 第1四半期経常利益
家電量販店5社 第1四半期の経常利益と前期比

家電量販店最大手のヤマダホールディングは売上高3,637億900万円で前年同期比96.8%、経常利益は130億1,100万円で同90.1%、ケーズホールディングスは売上高1,663億900万円で同93.9%、経常利益は36億5,700万円で同43.9%、エディオンは売上高1,124億4,300万円で同97.6%、経常利益は18億9,300万円で同63.2%、上新電機は売上高903億7,700万円で同95.5%、経常利益は10億7,600万円で同82.5%と、いずれも減収減益となった。
唯一、ノジマは売上高1,717億1,000万円で同126.6%の増収、経常利益は58億2,400万円で同63.2%と減益になっている。

■家電量販店5社 2024年3月期 第1四半期業績

金額単位:百万円

売上高前期比営業利益前期比経常利益前期比純利益前期比
ヤマダHD363,70996.8%11,07290.3%13,01190.1%10,49161.0%
ケーズHD166,30993.9%44,21838.4%3,65743.9%2,56446.6%
エディオン112,44397.6%1,77156.7%1,89363.7%1,09350.3%
ノジマ171,710126.6%5,26864.2%5,82463.2%3,34554.6%
上新電機90,37795.5%1,07678.4%1,07682.5%62061.0%
減収減益の主な要因

2024年3月期第1四半期はノジマ以外、各社減収減益といった結果になったわけだが、その主な要因としてヤマダホールディングは、
①デンキ事業での消費支出のレジャー・サービスへの移行による家電需要の減少
②住建事業においては新築注文住宅の完工遅れに伴う収益の減少
③前年度のグループ通算制度適用による繰延税金資産の計上、および子会社グループ再編に伴う欠損金の引き継ぎ等による法人税等が減少していたことの影響
ーーとしている。

ケーズホールディングは決算短信で触れていないが、決算説明資料によると、売上高減少の要因として、
①前年度第1四半期の売上伸長の下支えになったエアコン販売との対比によるもの
②3年ぶりの行動制限がなくなり旅行や帰省が活況を呈した一方で、耐久消費財の購入が振るわなかった
③電気代高騰や物価高から生活防衛意識が高まり、消費マインドの低下、買い替えサイクルの長期化があった
ーーとしている。

エディオンはゲーム・玩具、携帯電話、理美容・健康器具などは前年売上を上回り、リフォームなどの住宅設備はほぼ前年並みだった一方、その他の商品全般で外向き消費が増加した影響もあって前年同期と比較して低調に推移したとしている。

上新電機は売上の約81%を占める店頭販売が前年同期比で3.9%マイナスになったほか、好調に伸びていたインターネット販売が同7.8%マイナスになったことが影響している。

ノジマの増収要因

3月期決算の大手家電量販店の中で唯一増収になったノジマは、セグメント別の状況をみると、デジタル家電専門店運営事業の売上高が619億6,500万円(前年同期比100.6%)と、需要低迷の中では健闘したのに加え、キャリアショップ運営事業の売上高が761億3,800万円(同176.7%)と大幅伸長したことが大きい。これは前年に携帯電話販売大手のコネクシオを連結子会社にした効果といえそうだ。
ただ、連結では販管費が473億3,900万円(前年同期は325億7,900万円)と増えたこともあり、営業利益は52億6,800万円(前年同期比64.2%)、営業外費用の増加もあって経常利益は58億2,400万円(同63.2%)と減益となった。

厳しさ増す「収益性重視」路線

大手家電量販店各社とも、中期的な家電需要の縮小傾向を受けて、住宅・リフォーム関連分野の強化、ゲーム・玩具商品やドラッグ、酒類販売など「非家電分野」を広範囲に取り込むことで、売上確保とともに、より収益性重視の方向にシフトしてきた。
しかし、本年度の第1四半期決算を見ていくと収益性アップの方向性でも新しい局面に入りつつあるようである。
例えば、ここ数年は緩やかに向上していた「売上高総利益率」(粗利率)が若干頭打ちになっていること。これは原材料・物流費等の高騰の影響で製品単価が上昇を続け、各社とも売上原価が増えているためだ。
一方、販管費は人件費の上昇や光熱費のアップなどにより、数年前より明らかに各社とも高くなっている。
このような経営環境が続けば、売上はさまざまな取り組みや新分野強化によって確保しつつ、コストは極力抑制して収益性を高めていく、といった従来の成長戦略も困難になっていきかねない。

7月は記録的な猛暑が続き、エアコンを中心とした季節商品が大幅に伸長した。そのため早くも第2四半期決算では業績予想クリアといった見方も出ているが、景気の低迷感が長引き、市場を取り巻く環境自体は改善されない中で、どのような結果が出せるのか。各家電量販店の動向が注目されている。

■売上高総利益率の推移(第1四半期)

金額単位:百万円

2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期
ヤマダHD30.8%30.8%30.2%30.6%
ケーズHD30.5%28.9%28.5%28.2%
エディオン30.1%30.4%30.7%30.1%
ノジマ30.9%30.2%30.1%30.6%
上新電機23.6%25.2%26.2%27.4%
■売上高販管費率の推移(第1四半期)

金額単位:百万円

2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期
ヤマダHD25.2%25.2%26.9%27.5%
ケーズHD22.1%22.6%24.6%26.6%
エディオン26.9%28.9%28.8%29.0%
ノジマ25.3%24.6%24.0%27.6%
上新電機20.6%21.9%24.8%26.2%
■売上高営業利益率の推移

金額単位:百万円

2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期
ヤマダHD5.6%5.6%3.3%3.0%
ケーズHD8.5%6.3%3.9%1.6%
エディオン3.2%1.5%1.9%1.1%
ノジマ5.7%5.6%6.0%3.1%
上新電機3.0%3.3%1.5%1.2%
■売上高経常利益率の推移

金額単位:百万円

2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期
ヤマダHD5.6%5.6%3.3%3.0%
ケーズHD8.5%6.3%3.9%1.6%
エディオン3.2%1.5%1.9%1.1%
ノジマ5.7%5.6%6.0%3.1%
上新電機3.0%3.3%1.5%1.2%