【家電量販月次売上】猛暑続きながら9月は企業により明暗

家電量販企業大手7社のうち、IR情報として月次売上速報を公表しているのはビックカメラ、ケーズホールディングス、エディオン、上新電機、コジマ(ビックカメラの子会社）の5社。いずれもPOS受注売上ベースの数字であり実際の販売額とは合致せず通期の売上等とも異なるが、家電量販企業の足元の販売動向や月々の変化などを知る上で重要な情報となる。
2023年9月度の月次売上速報が出そろった。

家電量販企業5社の9月度売上速報

記録的な猛暑が続いた今夏。9月も下旬まで各地で真夏日を記録するなど、暑さが一向に治まらない状況が続き、各家電量販店はエアコン販売の好調さが持続した。7月、8月は前年比2ケタ以上の販売となったエアコンにけん引される形で、多くの家電量販店が前年プラスとなったが、9月はエアコン以外が伸び悩み、曜日巡りの関係でシルバーウィーク商戦も盛り上がりに欠けたこともあり、商品全般で好調さを見せた上新電機と、インバウンド需要の流れが強いビックカメラを除くと、前年比マイナスといった結果となった。
次は大型家電が動く年末商戦まで、理美容健康家電や調理家電の動向が気になる時期であるが、レジャーなどの外向き消費にシフトが続く中で、物価高や光熱費の上昇などにより消費マインドは低下傾向にあり、家電製品購入のプライオリティーはそれほどアップしないとの見方もある。秋から冬にかけて天候要因もかかわってくることになるが、全体的には苦戦する可能性も高そうだ。

ビックカメラ

■月次売上(前年同月比)

2022年 10月	2022年 11月	2022年 12月	2023年 1月	2023年 2月	2023年 3月	2023年 4月	2023年 5月	2023年 6月	2023年 7月	2023年 8月	2023年 9月
93.5	106.4	101.6	104.0	105.9	104.2	104.8	103.9	108.4	113.4	111.1	103.5

■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)

	2022年 10月	2022年 11月	2022年 12月	2023年 1月	2023年 2月	2023年 3月	2023年 4月	2023年 5月	2023年 6月	2023年 7月	2023年 8月	2023年 9月
音響映像商品	106.2	105.6	96.3	101.0	101.3	101.5	105.3	102.4	111.3	114.0	112.5	110.6
家庭電化商品	102.0	100.0	100.3	100.0	104.9	101.9	102.5	97.3	101.7	111.7	109.8	109.4
情報通信機器商品	72.6	94.3	96.6	99.0	95.1	93.8	91.9	93.7	96.1	99.1	100.0	90.9
その他の商品	101.7	134.0	113.4	120.9	126.8	134.3	131.6	133.4	136.3	132.6	123.8	107.7

ビックカメラの9月度は103.5％と11ヶ月連続のプラスとなり、2024年8月期の期首も好調なスタートを切った。月次売上速報によると「音響映像商品」はデジタルカメラやオーディオが好調だったものの、依然テレビは低調だった。「家庭電化商品」は調理家電や理美容家電、さらに猛暑が続きエアコンが好調に推移し、冷蔵庫や洗濯機も堅調だった。「その他の商品」は時計や医薬品、玩具が好調であり、スポーツ用品も堅調に。一方、「情報通信機器商品」はパソコン本体やスマートフォンが低調で、パソコン周辺機器がやや低調だったとしている。
店舗状況では9月1日にビックカメラ札幌店が東急百貨店 札幌店に移転し、リニューアルオープンしている。

ケーズホールディングス

■月次売上(前年同月比)

2022年 10月	2022年 11月	2022年 12月	2023年 1月	2023年 2月	2023年 3月	2023年 4月	2023年 5月	2023年 6月	2023年 7月	2023年 8月	2023年 9月
97.8	93.1	100.6	96.7	99.6	94.4	93.0	90.8	87.7	109.9	109.6	98.7

■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)

	2022年 10月	2022年 11月	2022年 12月	2023年 1月	2023年 2月	2023年 3月	2023年 4月	2023年 5月	2023年 6月	2023年 7月	2023年 8月	2023年 9月
テレビ	87.0	88.6	93.4	87.8	86.2	78.2	86.2	82.9	91.7	98.5	99.6	93.2
パソコン・情報機器	103.4	109.9	116.3	116.0	105.4	99.9	102.1	91.5	89.3	87.8	85.6	80.9
冷蔵庫	95.1	95.8	103.1	103.6	116.2	97.2	91.4	86.9	85.1	101.0	106.3	89.5
洗濯機	106.0	94.9	98.2	94.6	103.1	98.0	98.8	92.4	102.9	105.4	106.6	94.5
クリーナー	123.3	82.8	92.6	92.2	90.3	94.8	96.8	92.3	94.7	94.8	94.8	89.3
調理家電	99.3	96.0	98.1	94.4	95.2	90.5	99.1	93.5	102.2	106.9	101.3	93.2
理美容・健康器具	100.7	100.0	103.0	100.2	99.7	97.7	106.5	103.4	106.0	104.0	97.1	96.0
エアコン	98.2	86.1	113.7	88.1	91.8	91.8	75.2	84.0	71.8	137.0	144.3	139.2

ケーズホールディングスの9月度は98.7％と3ヶ月ぶりのマイナスとなった。2024年3月期第2四半期は106.3％と好調だったが、第1四半期に苦戦したことで、上半期計は98.4％となった。商品別では猛暑が続いたことで「エアコン」が139.2％と好調に推移したが、それ以外の商品はいずれも前年割れになった。上半期計では「エアコン」が102.6％、「理美容・健康器具」が102.0％、「冷蔵庫」が100.1％と前年を上回った。
店舗状況では新店が1店舗(滋賀県)あり、退店が1店舗(福島県)あったため、月末店舗数は552店となっている。

エディオン

■月次売上(前年同月比)

	2022年 10月	2022年 11月	2022年 12月	2023年 1月	2023年 2月	2023年 3月	2023年 ４月	2023年 5月	2023年 6月	2023年 7月	2023年 8月	2023年 9月
全店	101.5	97.8	102.8	96.5	103.0	97.2	97.7	97.8	90.6	110.1	102.6	98.1
直営店	101.4	99.0	102.5	95.8	103.5	97.1	97.9	97.4	90.4	110.1	102.1	97.8

■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)

	2022年 10月	2022年 11月	2022年 12月	2023年 1月	2023年 2月	2023年 3月	2023年 4月	2023年 5月	2023年 6月	2023年 7月	2023年 8月	2023年 9月	2023年 8月
テレビ	90.2	103.3	94.3	90.1	90.0	81.4	90.5	91.7	88.7	94.1	92.3	88.2	92.3
エアコン	106.9	90.6	122.8	91.3	97.8	91.6	92.1	98.6	74.5	140.7	116.2	116.8	116.2
冷蔵庫	100.9	95.4	108.3	104.9	121.4	97.6	98.3	96.6	92.4	107.3	98.2	96.8	98.2
洗濯機	109.5	99.2	99.7	93.3	112.3	96.0	97.5	89.8	101.8	108.5	105.8	108.2	105.8
パソコン	107.3	111.5	119.9	112.2	106.7	97.4	93.3	94.1	88.5	89.1	78.5	84.8	78.5
ELS事業 (リフォーム計)	111.9	93.3	101.6	97.8	95.6	96.5	95.6	91.9	85.8	90.8	88.9	92.6	88.9

エディオンの9月度は全店で98.1％、直営店で97.8％となり、いずれも3ヶ月ぶりのマイナスとなった。上半期計では全店で99.6％とほぼ前年並みをキープしている。商品別では「エアコン」が116.8％、「洗濯機」が108.2％と好調さを維持している。
店舗状況は新店で直営が1店舗(大阪府)、FCが2店舗あり、退店はFCで2店舗あったため、月末店舗数は1,209店となっている。

上新電機

■月次売上(前年同月比)

2022年 10月	2022年 11月	2022年 12月	2023年 1月	2023年 2月	2023年 ３月	2023年 4月	2023年 5月	2023年 6月	2023年 7月	2023年 8月	2023年 9月
99.1	99.5	100.3	99.0	105.3	96.1	95.1	94.3	89.8	102.6	100.0	121.0

■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)

	2022年 10月	2022年 11月	2022年 12月	2023年 1月	2023年 2月	2023年 3月	2023年 4月	2023年 ５月	2023年 6月	2023年 7月	2023年 8月	2023年 9月
テレビ	95.8	89.5	86.0	97.7	90.9	83.4	88.3	85.5	87.7	93.7	88.8	151.1
パソコン	95.3	101.5	100.4	105.4	97.9	98.4	95.9	85.6	83.4	88.7	79.4	120.2
携帯電話	139.9	152.1	133.3	139.6	130.2	115.1	121.5	116.2	115.9	125.0	143.0	138.7
エアコン	112.1	88.3	120.6	99.9	92.7	87.2	67.5	82.1	71.9	125.1	113.2	160.7
冷蔵庫	95.1	87.5	94.9	101.3	105.6	95.3	92.2	87.3	84.6	95.4	97.6	147.0
洗濯機・クリーナー	104.0	92.6	89.9	94.0	110.8	93.1	95.2	90.9	94.4	94.0	98.7	134.3

上新電機の9月度は121.0％と好調で3ヶ月連続のプラスとなった。この結果、2024年3月期第2四半期は108.1％とプラスになり、上半期計でも100.7％と前年をキープしている。商品別では猛暑の影響で「エアコン」が160.7％と大きくプラスになったほか、他社ではマイナス傾向の続く「テレビ」も151.1％、「冷蔵庫」が147.0％など、いずれも前年を上回っている。詳細は不明であるが、上半期末決算セールやインターネット販売が好調だったと推察される。
店舗状況は出退店ともなく、月末店舗数は220店となっている。

コジマ

■月次売上(前年同月比)

	2022年 9月	2022年 10月	2022年 11月	2022年 12月	2023年 1月	2023年 2月	2023年 3月	2023年 4月	2023年 5月	2023年 6月	2023年 7月	2023年 8月	2023年 9月
既存店	106.4	98.2	97.3	98.2	93.4	90.4	86.4	90.4	90.6	89.2	97.6	98.7	90.6
全店	108.6	98.2	97.7	99.3	94.6	91.6	87.8	90.9	89.6	89.3	98.4	100.1	92.1

■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)

	2022年 9月	2022年 10月	2022年 11月	2022年 12月	2023年 1月	2023年 2月	2023年 3月	2023年 4月	2023年 5月	2023年 6月	2023年 7月	2023年 8月	2023年 9月
テレビ	88.4	82.5	90.1	82.0	75.4	74.7	82.1	80.8	78.8	86.0	87.6	87.6	81.2
ブルーレイ・DVD (録画機含む）	71.7	73.4	77.9	73.9	87.2	60.2	56.4	82.2	80.2	83.8	82.9	77.2	81.2
エアコン	120.4	103.8	96.4	109.3	89.8	87.6	84.9	75.9	90.3	73.7	120.2	123.4	143.1
パソコン （本体のみ）	93.3	98.5	110.6	110.9	108.7	98.8	94.6	94.1	84.7	79.5	81.3	81.3	84.0
携帯電話	115.8	115.6	114.1	110.3	112.4	107.1	89.7	102.0	102.0	100.9	108.1	131.7	116.9
洗濯機	109.0	101.7	93.0	97.7	95.1	93.0	94.2	101.5	99.3	103.0	104.0	107.2	93.9
冷蔵庫	93.2	88.1	88.9	93.5	94.3	101.3	92.4	92.0	91.0	87.0	97.0	98.7	95.7

コジマの9月度は既存店が90.6％と12ヶ月連続のマイナス、全店は92.1％と2ヶ月ぶりのマイナスとなった。月次売上速報によると前年がゲームソフトの新製品発売の影響で、ゲーム機本体やゲームソフトが好調だったことに加え、ECの販売施策との対比により前年を下回ったとしている(ゲーム機本体前年比53.3％、ゲームソフト前年比19.6％、EC前年比67.0％)。エアコンは猛暑が続いた影響で前年を大きく上回り、洗濯機や冷蔵庫は回復傾向にあるものの、前年を下回ったとしている。
店舗状況は9月1日に「コジマ×ビックカメラ聖蹟桜ヶ丘店」(東京都)の新店があり、月末店舗数は142店となっている。