【家電量販月次速報】2月度は企業によって明暗分かれる

家電量販企業大手7社のうち、IR情報として月次売上速報を公表しているのはビックカメラ、ケーズホールディングス、エディオン、上新電機、コジマ(ビックカメラの子会社)の5社。いずれもPOS受注売上ベースの数字であり実際の販売額とは合致せず通期の売上等とも異なるが、家電量販企業の足元の販売動向や月々の変化などを知る上で重要な情報となる。
2023年2月度の月次売上速報が出そろった。

家電量販企業5社の2月度売上速報

家電量販月次売上速報 2023年2月度

2月は年間を通して、家電製品の需要が少ない月であるが、新生活を迎える人の新規購入を中心とした春商戦がスタートする時期でもある。特に2020年以降は新型コロナ感染拡大を受けて、新しい生活や移動にも制約があったが、「第8波」がピークアウトして、行動制限もなくなったことで家電販売にも期待が高まっていた。月次売上速報を公表している家電量販企業を見る限りでは、冷蔵庫や洗濯機、調理家電などの「必需品」は前年と比べてプラスになっているケースが多く、需要が伸びるパソコンも企業によってバラツキがあるものの、全般的に堅調だったと言えそうだ。ただ、例年と比べて寒さはそれほど厳しくない地域も多く、エアコンを中心とした季節家電はマイナス基調にあり、依然としてテレビをはじめAV家電は低迷したままとなっている。企業トータルの月次売上では、都市型店舗で展開するビックカメラ、郊外型店舗で展開するエディオン、上新電機が前年比でプラスだったのに対し、郊外型のケーズホールディングス、コジマはマイナスと明暗が分かれた。
3月は新社会人や進入学を控えての購入がピークの時期であり、ビックカメラ・コジマを除いて期末の決算セールが展開されることになる。物価上昇によるインフレ傾向にある2022年度は、家電量販企業の売上がほぼ横ばいから微減といった予測が多い中、どこまで伸ばせるか注目の1ヶ月となりそうだ。

ビックカメラ

2023年2月度 ビックカメラ売上
■月次売上(前年同月比)
2022年
2月
2022年
3月
2022年
4月
2022年
5月
2022年
6月
2022年
7月
2022年
8月
2022年
9月
2022年
10月
2022年
12月
2022年
11月
2023年
1月
98.395.8100.896.1101.798.0106.5113.393.5106.4101.6104.0
■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)
2022年
2月
2022年
3月
2022年
4月
2022年
5月
2022年
6月
2022年
7月
2022年
8月
2022年
9月
2022年
10月
2022年
11月
2022年
12月
2023年
1月
音響映像商品96.897.199.5102.495.887.1110.3101.9106.2105.696.3101.0
家庭電化商品101.5108.5112.097.4112.3100.2103.0108.1102.0100.0100.3100.0
情報通信機器商品89.896.999.690.796.897.2100.7111.472.694.396.699.0
その他の商品108.774.486.795.692.8105.4117.3137.2101.7134.0113.4120.9

ビックカメラの2月度は105.9%と4ヶ月連続のプラスとなった。この結果、2023年8月期第2四半期(2022年12月~2023年2月)は103.6%となり、上半期計でも103.8%と堅調さを維持している。前年は新型コロナ禍による行動制限の影響を受けたが、ほぼターミナル利用客が元に戻り、来店客が本格的に回復してきたことと、EC販売の伸びが奏功していると推察される。月次売上速報の商品別を見ていくと、「音響映像商品」はデジタルカメラやオーディオが好調ながらも、他の家電量販企業同様にテレビの低迷が続いている。「家庭電化商品」では理美容家電が好調で、冷蔵庫や洗濯機、調理家電が堅調。「情報通信機器商品」はパソコン本体や周辺機器がやや低調、スマートフォンが低調でマイナス基調になっている。「その他の商品」は全般的に好調だったとしている。

ケーズホールディングス

ケーズホールディング 2023年2月売上
■月次売上(前年同月比)
2022年
3月
2022年
4月
2022年
5月
2022年
6月
2022年
7月
2022年
8月
2022年
9月
2022年
10月
2022年
11月
2022年
12月
2023年
1月
2023年
2月
101.0103.093.4104.991.892.3106.197.893.1100.696.799.6
■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)
2022年
3月
2022年
4月
2022年
5月
2022年
6月
2202年
7月
2022年
8月
2022年
9月
2022年
10月
2022年
11月
2022年
12月
2023年
1月
2023年
2月
テレビ105.499.289.083.677.787.596.587.088.693.487.886.2
パソコン・情報機器103.696.585.994.9101.897.3100.5103.4109.9116.3116.0105.4
冷蔵庫110.6111.2105.4115.3112.399.6113.095.195.8103.1103.6116.2
洗濯機107.2108.699.4101.1106.292.5120.3106.094.998.294.6103.1
クリーナー96.396.191.6101.7104.594.2105.6123.382.892.692.290.3
調理家電106.195.191.694.194.990.0100.499.396.098.194.495.2
理美容・健康器具101.896.688.791.496.197.5101.0100.7100.0103.0100.299.7
エアコン111.4132.5102.1127.580.693.0131.898.286.1113.788.191.8

ケーズホールディングスの2月度は99.6%と2ヶ月連続のマイナスとなった。この結果、2022年度計は97.9%となり、前月よりは若干持ち直しており、通期ではほぼ前年比横ばいになりそうだ。商品別では
「冷蔵庫」が116.2%と3ヶ月連続プラスと好調、「洗濯機」も103.1%とプラスになった。「パソコン・周辺機器」は105.4%と5ヶ月連続プラスになっている。店舗状況は新店が2店舗(佐賀県・兵庫県)あり、退店がなかったため、月末店舗数は548店となった。

エディオン

エディオン 2023年2月売上
■月次売上(前年同月比)
2022年
3月
2022年
4月
2022年
5月
2022年
6月
2022年
7月
2022年
8月
2022年
9月
2022年
10月
2022年
11月
2022年
12月
2023年
1月
2023年
2月
全店99.8103.097.8103.994.097.8106.2101.597.8102.896.5103.0
直営店100.0102.698.3103.393.997.7106.9101.499.0102.595.8103.5
■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)
2022年
4月
2022年
5月
2022年
6月
2022年
7月
2022年
8月
2022年
9月
2022年
10月
2022年
11月
2022年
12月
2023年
1月
2023年
2月
テレビ94.988.977.775.786.093.790.2103.394.390.190.0
エアコン135.5115.1140.186.7106.1121.7106.990.6122.891.397.8
冷蔵庫111.9108.1107.7101.6108.4100.8100.995.4108.3104.9121.4
洗濯機106.6101.797.2101.996.7102.3109.599.299.793.3112.3
パソコン91.087.288.7100.2100.5104.2107.3111.5119.9112.2106.7
ELS事業
(リフォーム計)
132.7122.5116.4123.5108.3116.0111.993.3101.697.895.6

エディオンの2月度は全店で103.0%、直営店で103.5%といずれも2ヶ月ぶりのプラスとなった。この結果、2022年度計は100.3%となり前年並みをキープしている。商品別では「冷蔵庫」が121.4%と大きくプラスになり、3ヶ月連続で前年を上回ったほか、「洗濯機」は112.3%と好調で4ヶ月ぶりのプラスに。「パソコン」も106.7%と前年7月以降、8ヶ月連続のプラスとなった。店舗状況は新店がFCで2店舗あり、退店がFCで1店舗あったため、月末店舗数は1,211店となった。

上新電機

上新電機 2023年2月売上
■月次売上(前年同月比)
2022年
3月
2022年
4月
2022年
5月
2022年
6月
2022年
7月
2022年
8月
2022年
9月
2022年
10月
2022年
11月
2022年
12月
2023年
1月
2023年
2月
93.995.3100.9103.789.895.5107.399.199.5100.399.0105.3
■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)
2022年
3月
2022年
4月
2022年
5月
2022年
6月
2022年
7月
2022年
8月
2022年
9月
2022年
10月
2022年
11月
2022年
12月
2023年
1月
2023年
2月
テレビ90.889.294.587.875.588.785.995.889.586.097.790.9
パソコン102.684.397.591.880.787.3101.795.3101.5100.4105.497.9
携帯電話133.491.7125.4129.2128.6110.7143.8139.9152.1133.3139.6130.2
エアコン105.4122.9111.9132.682.195.8124.5112.188.3120.699.992.7
冷蔵庫104.0100.898.1107.395.791.193.295.187.594.9101.3105.6
洗濯機・クリーナー89.488.092.694.198.990.895.7104.092.689.994.0110.8

上新電機の2月度は105.3%と2ヶ月ぶりのプラスになった。商品別では「携帯電話」が130.2%と大きくプラスになっており、前年5月からのプラス傾向が続いている。また、「冷蔵庫」は105.6%と2ヶ月連続のプラス、「洗濯機・クリーナー」は110.8%と4ヶ月ぶりのプラスになっており、白物家電が好調に推移している。店舗状況は出退店ともなく、月末店舗数は221店となった。

コジマ

コジマ 2023年2月売上
■月次売上(前年同月比)
2022年
3月
2022年
4月
2022年
5月
2022年
6月
2022年
7月
2022年
8月
2022年
9月
2022年
10月
2022年
11月
2022年
12月
2023年
1月
2023年
2月
既存店95.495.787.1101.799.493.7106.498.297.398.293.490.4
全店96.497.290.1103.399.895.6108.698.297.799.394.691.6
■商品別・カテゴリー別売上(前年同月比)
2022年
3月
2022年
4月
2022年
5月
2022年
6月
2022年
7月
2022年
8月
2022年
9月
2022年
10月
2022年
11月
2022年
12月
2023年
1月
2023年
2月
テレビ88.584.180.673.873.290.688.482.590.182.075.474.7
ブルーレイ・DVD
(録画機含む)
76.372.561.855.355.681.971.773.477.973.987.260.2
エアコン110.7130.591.8122.081.592.2120.4103.896.4109.389.887.6
パソコン
(本体のみ)
85.889.585.197.8109.396.593.398.5110.6110.9108.798.8
携帯電話143.892.0105.4127.3124.996.0115.8115.6114.1110.3112.4107.1
洗濯機99.094.082.794.1101.194.6109.0101.793.097.795.193.0
冷蔵庫104.0104.189.8104.2100.989.593.288.188.993.594.3101.3

コジマの2月度は既存店が90.4%、全店では91.6%といずれも5ヶ月連続のマイナスになった。この結果、2023年8月期第2四半期計は既存店94.2%、全店で95.5%となり、上半期計でも既存店97.0%、全店で98.1%と前年を下回っての折り返しとなった。月次売上速報によると、テレビや冷蔵庫が前年のグリーン住宅ポイント精度に伴う需要の高まりの影響に加え、巣ごもり需要の反動で前年を下回り、エアコンは暖かい日が多かった影響があったとしている。一方、冷蔵庫は電気料金高騰に伴う節電意識の高まりによって、省エネ性能の高い高付加価値モデルが好調に推移。また、ドアホンは防犯意識の高まりから、前年比250.8%と大きく伸長。携帯電話やゲーム機本体は引き続き好調だったとしている。店舗状況は出退店ともなく、月末店舗数は141店となった。